返済不要!?オーストラリアの大学が提供する奨学金と取得方法を紹介

「オーストラリアで学びたいけれど、お金が足りない……」
そんな悩みを持つ人も多いのではないでしょうか。実は奨学金を上手に活用すれば、学費や生活費の負担をぐっと減らせるでしょう。

今回の記事ではオーストラリア留学を考える方に向けて、奨学金の種類から申請のコツ、面接対策までを解説します。

1. オーストラリア留学における奨学金の種類

奨学金がカバーしてくれる範囲は、プログラムによって異なります。まずは奨学金ごとに、何をどこまで支援してくれるのかを理解しましょう。

1-1. 政府系奨学金

オーストラリアや日本が用意している、政府系奨学金があります。

たとえばオーストラリアの「デスティネーション・オーストラリア奨学金」は、オーストラリアの地方都市の教育機関を発展させ、学生に高品質な教育を提供することを目的とした奨学金です。

一方、日本政府の奨学金には「日本学生支援機構(JASSO)」などがあります。JASSOは日本人学生が海外で学位取得や交換留学を行うための奨学金です。返済が必要な「貸与型」の奨学金と、返済がいらない「給付型」の奨学金があります。

1-2. 大学独自の奨学金

大学独自の奨学金は、学費の一部免除型が中心です。とはいえ免除率は10%から最大100%まで幅があり、上位枠に選ばれれば実質フルライドと変わらない場合もあります。

選考は、成績に加えて高校での課外活動やリーダーシップ経験が重視される傾向が強いので、「生徒会で文化祭を統括した」「地元の子ども食堂を手伝った」といったストーリーを丁寧にまとめておくと良いでしょう。

1-3. 民間団体・企業による奨学金

民間奨学金は、学費補助だけでなく研究費や渡航費、インターンシップサポートまでを含んだ柔軟なコースを用意してくれていることがあります。

たとえば「日米豪印フェローシップ」は、日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4か国が共同で立ち上げたSTEM(理工系)大学院生向けの奨学金です。2023年に本格始動し、毎年50〜100名規模の学生を選抜しています。

2. 主要な政府系奨学金プログラム

ここでは、日本の高校生・大学生が利用しやすい政府系奨学金を2つ紹介します。倍率は高いですが、給付額を考えるとチャレンジする価値はあるでしょう。

2-1. オーストラリア政府奨学金

「デスティネーション オーストラリア奨学金」は、オーストラリア政府が地方キャンパスに学生を呼び込む目的で用意した奨学金です。対象になれば、年間最大15,000豪ドル(約150万円)を受け取れます。

支給を受けるには、「CRICOS登録の地方キャンパスにフルタイムで在籍し、現地に居住する」ことが必須条件です。

2-2. 日本政府(文部科学省)奨学金

JASSOは文部科学省所管の独立行政法人で、日本人学生が海外で学位取得や交換留学を行う際に、給付型奨学金を提供しています。

返済不要の「学部学位取得型」は、高校卒業後にそのまま海外大学へ進学する人が対象で、募集人数はおおむね100名規模。応募書類には高校評定、語学スコア(IELTS/TOEFL)、学習計画書などが必要です。

留学先によって奨学金額が異なり、オーストラリアなら月額28万2,000円という手厚い支援に加え、渡航支援金16万円も支給されます。

3. オーストラリアの主要大学が提供する奨学金一覧

ここでは、オーストラリアの大学が実際に提供する奨学金の一部をご紹介します。

3-1. シドニー工科大学(University of Technology Sydney, UTS)

革新的なデザイン教育と業界連携インターンが強みのシドニー工科大学。QS世界大学ランキング2025で88位に入る、新進気鋭の公立大学です。都市型ながら、キャンパスには最新ラボや共同ワークスペースが並び、デザイン・IT・データサイエンスの実践的カリキュラムを受けることができます。

「UTS Academic Excellence International Scholarship」では、大学入学共通テスト結果で優秀な成績を修めた学生を対象に、授業料が30%免除されます。

シドニー工科大学(University of Technology Sydney_UTS)

3-2. メルボルン大学(The University of Melbourne)

メルボルン郊外のパークビルに本部を構えるメルボルン大学は、国内最高峰の名門。総学生数5万人超の大規模校ですが、カレッジ制でアットホームな学習環境が整い、医学・法学・芸術学の研究レベルは南半球トップクラスです。

「Melbourne International Undergraduate Scholarship」は授業料を25%免除し、最大で4年間継続可能。願書を出すだけで、自動審査に掛かります。

The University of Melbourne(メルボルン大学)

3-3. モナッシュ大学(Monash University)

メルボルン都市圏に巨大キャンパスを持つモナッシュ。薬学・材料工学・持続可能エネルギー研究で世界的に知られ、在学生の3割近くが海外出身というグローバルな雰囲気も魅力です。

年間1万豪ドルを支給する「Monash International Merit Scholarship」は、平均70%以上の優秀な成績を維持する必要があります。モチベーションをキープしながら学びたい人にぴったりです。

Monash University(モナッシュ大学)

3-4. ラ・トローブ大学(La Trobe University)

メルボルン北部の緑豊かな敷地に本拠を置くラ・トローブ大学。スポーツ科学・リハビリテーション・サイバーセキュリティで評価が高く、州政府や豪州フットボールリーグとの共同研究も盛んです。

データ系専攻で人気の「Analytics & Insights Scholarship」では、学費が最大50%免除されます。「AIを使って社会課題を解決したい」と考える方に、特におすすめです。​

La Trobe University(ラ・トローブ大学)

3-5. マッコーリー大学(Macquarie University)

シドニー北西部の広大なパークランドに位置し、自然豊かな環境と最先端研究施設を両立するマッコーリー。言語学・ビッグデータ・金融数学の産学連携が強く、次世代図書館は学生の人気スポットです。

国籍別・専攻別に学費を15〜35%免除する奨学金が複数あり、オンライン願書の完成度次第でチャンスが広がります。提出ミスが即失格に繋がるため、念入りにチェックしましょう。​

マッコーリ大学

3-6. ビクトリア大学(Victoria University)

メルボルン西部にメインキャンパスを置くビクトリア大学。「Block Model」という、1ユニット集中型授業で近年注目を浴びています。理論と実習を短期集中的にこなすスタイルは、アルバイトやインターンとの両立がしやすいことが嬉しいポイント。

「Block Model International Scholarship」では初年度授業料を最大で30%免除し、優秀者には増額チャンスも用意されています。​

ビクトリア大学付属語学学校

3-7. アデレード大学(The University of Adelaide)

南オーストラリア州都の中心部に立地するアデレード大学。ワイン醸造学・獣医学・人工知能研究で世界的な評価を受け、世界35カ国以上とのダブルディグリープログラムを展開しています。

留学生には授業料15〜30%を自動免除する「Global Citizens Scholarship」が提供され、基準を満たす願書を提出するだけで審査対象になる気軽さが魅力。書類作成が苦手でも挑戦しやすでしょう。​

The University of Adelaide(アデレード大学)

3-8. ディーキン大学(Deakin University)

ビクトリア州ジーロングとメルボルン郊外にキャンパスを展開するディーキン大学。スポーツ科学・看護学・食料安全保障研究が強く、最新AR/VRスタジオで授業が受けられるなどデジタル環境が充実しています。

留学生向けの「Deakin International Scholarship」は授業料を25%減免し、オンライン申請から4〜6週間で結果が届くスピード感。「先に結果を押さえてから他校に挑む」という戦略も取りやすいですよね。​

Deakin University(ディーキン大学)

4. 民間団体・企業が提供する奨学金の紹介

民間奨学金は「分野特化」「社会貢献」「地方創生」など目的が明確で、志望理由が合致すれば採択率が一気に上がる店が魅力です。SNSなどをチェックして、最新情報を取りこぼさないようにしましょう。

4-1. ロータリー財団奨学金

ロータリー財団の「グローバル補助金」は、平和・教育・疾病対策などロータリーの重点分野で修士課程以上の学生を支援します。

学費・生活費だけでなく、研究に必要な現地調査費まで別枠で申請でき、「フィールドに出て学びたい!」という行動派にぴったりです​。

4-2. 日本学生支援機構(JASSO)奨学金

海外留学支援制度(協定派遣)では、大学間協定枠でオーストラリアへ渡る学生を対象に、月9万円を給付します。

募集は各大学の国際課が一括管理しているため、学内説明会が開かれたら必ず顔を出し、担当者との信頼関係を築いておくと備考欄で推薦コメントを書いてもらえることがあるでしょう​。

4-3. その他の民間奨学金プログラム

たとえば、「ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ プログラム」は、日本人理工系大学生・大学院生のための欧州企業インターンシップです。毎年ヨーロッパに理工系の学生を派遣して、語学研修やヨーロッパ企業でのインターンシップの機会を提供しています。

1996年の創設以来、AI・ロボティクス・バイオ工学など幅広い分野で700社超が留学生を受け入れ。海外で語学と技術を学びたい理工系大学生におすすめです。

5. 奨学金申請のための準備と手続き

奨学金は、締切の逆算と書類の精度が勝敗を分けると言っても過言ではありません。以下の流れをしっかりと把握しておきましょう。

5-1. 応募条件の確認

まずは応募する奨学金の選定から始めます。

年齢・国籍・専攻・成績・語学スコアなど、各奨学金の応募条件を確認し、条件を満たしている奨学金だけをリストアップすると分かりやすくなりますよ。

5-2. 必要書類の準備

パスポートコピーや英文成績証明書は発行に時間がかかるので、高校の進路指導室や大学の教務課に早めに依頼しましょう。

財政状況証明は銀行残高証明が一般的ですが、家族の口座でも可とするプログラムもあるため、募集要項を熟読してください。

5-3. 申請書の書き方と注意点

応募時には出願理由やエッセイを求められることも少なくありません。出願理由などを書く際は「結論→理由→将来ビジョン」の三段構成を意識して書きましょう。

たとえば「私は農村医療をデジタル技術で改革したい」という結論を先に提示し、その理由として「祖父の地元に医師が不足していた経験」を挙げるとストーリー性が増し、結論の説得力を高められます。

また、書いた後に周りの人からフィードバックを受けて、客観的に直していくとより熱意が伝わりやすくなりますよ。

5-4. 英語力証明の取得方法

IELTSは2年間で失効するため、高校3年の春に一度、秋に2回目を受験する2ステップ方式で受けておくと安心です。

スピーキング対策にはオンライン英会話で留学動機を毎回話すなど、面接で聞かれそうな内容をしっかり練習しておきましょう。

5-5. 推薦状の依頼方法

推薦者には少なくとも1ヶ月前に依頼し、募集要項と自分の願書の草稿を共有してください。提出後は「先生のおかげで無事出願できました!」と感謝を伝え、合否結果も報告すると、次の機会にも再度応援してもらいやすくなります。

6. 奨学金獲得のためのポイント

最後に、実際に奨学金を得るために押さえておきたいポイントを紹介します。

6-1. 効果的な応募戦略

願書は、汎用パートと大学固有パートに分けて共通部分をコピー活用すると、複数の奨学金に応募したい時に便利です。

また、提出前にはPDFを開いてレイアウト崩れがないか確認してください。ちょっとした丁寧さが合格率に繋がります。

6-2. 面接対策と心得

オンライン面接では印象がとても大事です。カメラは目線と水平に設置し、部屋の照明は顔より少し高い位置から当てると表情が明るく映ります。

「どうしてオーストラリアに?」と聞かれたら、気候や治安の良さだけでなく研究設備やインターン制度を絡め、将来のキャリアにどう結びつくかまで語ると説得力が増すでしょう。

7. まとめ

奨学金は、情報収集と準備をしっかりすれば勝ち取れるチャンスがあります。本記事で紹介した政府系・大学独自・民間の奨学金制度をチェックして、締切から逆算した計画を立ててみてください。

また、周囲の協力を上手に得ることも大切です。書類をチェックしてもらったり、先輩や先生に成功例を聞いたりするとよいでしょう。