オーストラリアの電圧は日本と同じ?コンセントはそのまま使える?変圧器は??

海外に旅慣れている人にとっては当たり前、海外に行ったことがない人は意外と知らず、見落としがちなのが「電圧」のこと。

電気なんてどこも同じなのでは?と思うかもしれませんが、日本と海外では言語や紙幣が違うのと同じように、電圧も違うのです。

これを知らずに旅行や留学、ワーホリに行ってしまうと現地で一苦労することは間違いありません。

特に、日本製のドライヤーやヘアアイロンを持って行こうと考えている方にとって、電圧事情は絶対に押さえておかなければならない大事なポイントです。

そこで今回はオーストラリアの電圧について、まとめたいと思います。

そもそも電圧とは?基本の仕組みと安全性

まずは、電圧の仕組みと安全性について解説します。基本を知って、思わぬトラブルを引き起こさないようにしましょう。

電圧と周波数の違いとは

電圧はVで表され、電気を押し出す力の大きさを示します。日本国内では主に100Vが使用されていますが、海外では110Vから240Vまで様々な電圧が採用されており、この数値が高いほど電気の力が強いです。

周波数はHzで表され、電気が1秒間にプラスとマイナスを入れ替える回数を示します。東日本と西日本では周波数が異なり、東日本では50Hz、西日本では60Hzが使われています。

家電製品は電圧と周波数の両方に合わせて設計されているため、海外で日本の家電を使う際は、両方の数値を確認することが非常に重要です。

電圧が異なると起こるトラブル

異なる電圧の電気製品を使用すると、様々なトラブルが発生する可能性があります。日本の100Vの製品を200Vなど電圧が高い国でそのまま使うと、製品に過剰な電流が流れ込み、内部の部品が過熱して故障や発火の原因となることがあります。最悪の場合、感電や火災につながることもあるでしょう

反対に、電圧が低い国で日本の製品を使うと、十分な電力が供給されません。製品が本来の性能を発揮できなかったり、動かなかったりすることがあります。例えば、ドライヤーやヘアアイロンは温まらず、パソコンやスマートフォンの充電には時間がかかってしまいます。

これらのトラブルを避けるためには、渡航先の電圧に対応した変圧器や変換プラグを使用することが不可欠です。

世界で使用されている電圧と周波数の種類

世界の電気事情は、電圧と周波数によって大きく2つに分けられます。電圧については、アメリカやカナダ、そして日本のように100V~120Vを主流とする地域と、ヨーロッパやオーストラリア、中国、韓国などのように220V~240Vを主流とする地域があります。

周波数については、世界的に50Hzと60Hzの二つが主流です。日本の東日本では50Hz、西日本では60Hzが使われています。海外では、アメリカは60Hz、ヨーロッパは50Hz、韓国は60Hzが一般的です。旅行や出張で海外に渡航する際には、渡航先の電圧と周波数を事前に確認し、対応する機器や変圧器を準備しましょう。

変圧器の用意が必要な家電とその見分け方


日本で売っている家電製品の中には、変圧器が必要なものとそうでないものがあります。それぞれの見分け方を解説します。

電圧対応していない家電の見分け方

イメージとしてですが、携帯電話、デジカメ、ノートパソコン、電気シェーバーといった、コンパクトで持ち運びすることが多く、電力消費が少ない製品は変圧器が不要のものが多いです。(必ずではありませんので、製品情報をすべて確認するようにしてください)

逆に、炊飯器や冷蔵庫などの大きなものや電力消費が大きい製品は変圧器が必要となります。留学やワーホリなど1年を超えるような長期滞在であっても、さすがに冷蔵庫などの大型家電を持って行きたいと考える人は少ないと思いますが、やはり日本の電化製品の質は非常に良いので、ドライヤーやヘアアイロンくらいなら持って行きたいと考える人が多いかと思います。

ここで注意が必要なのが、用意する変圧器はなんでも良い、というわけではないということです。 変圧器はいろいろなメーカーから販売されているのですが、それぞれの製品に「電力の許容量」というものがあります。まず以下に消費電力の目安を製品ごとに並べてみます。

消費電力の目安
消費電力家電製品の例
10W携帯電話、ゲーム機
20Wシェーバー、デジカメ、ラジカセ
50Wノートパソコン、ビデオデッキ
80W蛍光灯
100Wポータブル冷蔵庫
300Wジューサーミキサー、扇風機
500Wデスクトップパソコン、洗濯機(4kg)
800Wコーヒーメーカー、こたつ
1000W炊飯器、トースター
1300Wオーブントースター、電気ストーブ、掃除機
1500W電子レンジ、ホットプレート、ドライヤー、ヘアアイロン

一般的に販売されている変圧器はコンパクトで持ち運びにも適したものが多いのですが、電力の許容量が150~200Wまでのものがほとんどです。上記見ていただくとわかると思いますが、ドライヤーやヘアアイロンはさまざまな電化製品の中でも消費電力が非常に高く、一般的な変圧器では対応していません。そのため、「ドライヤー専用電子変圧器」といった製品が一般的なものとは別で販売されています。ドライヤーに限らずですが、変圧器が必要な製品をオーストラリアに持っていく場合、変圧器+電力の許容量についても忘れずに確認するようにしてください。

海外に行く際に手荷物は極力減らしたいことを考えると、ドライヤー+変圧器は結構かさばります。 ドライヤー専用の変圧器も安くて4,000~5,000円程度するので、もしそのドライヤー自体にこだわりがなければ、現地での購入の方がお得です。例えばオーストラリアでドライヤーであれば、1,958円で購入ができます。持っていく物と、現地で揃える物の精査をしましょう。

その他よく持ち運ぶ電子機器と使用時の注意点

ゲーム機

Nintendo Switchなどのようなゲーム機は暇つぶしとしても重要なアイテム。
持っていく可能性が高いものの1つとして考えられます。PSVITAは海外対応しており、変圧器は不要で利用(充電)が可能です。

 

一方で任天堂3DSは、日本国内仕様のACアダプターは100~120Vのみに対応しており、200V~240Vの環境で充電する場合、専用のACアダプターの準備が必要です。日本国内での発売予定はないので、利用する現地で専用のACアダプターの購入が必要。

 

さらに、海外利用時に起きた不具合は保証の対象外で、いかなる不具合も保証サービスを受けることができません。なんとなく大丈夫そうと思っているものが意外と対応していなかったりするので、十分に確認・注意が必要です。

電子書籍

キンドルはUSBでの充電なので、パソコンがあれば充電可能です。

DVD

映画やテレビドラマなど録画したDVDソフトも持って行きたいと考える方がいると思いますが、日本から海外にDVDソフトを持って行っても、現地のプレイヤーで再生できないということがあります。これは電圧とは別の話なので余談になりますが、DVDには世界を6つの地域に分けたリージョンコードというものが割り当てられていて、その地域で販売されているDVDプレイヤーは、その地域のリージョンコードに対応したDVDソフトのみ再生ができるようになっています。

日本はリージョンコード2、オーストラリアはリージョンコード4にそれぞれ属しているので、日本で販売されているDVDソフトをオーストラリアのDVDプレイヤーに入れても再生されません。もちろん、DVDが再生可能なノートパソコンも持って行くのであれば視聴可能です。

オーストラリアから日本に電化製品を持って帰ってくる場合

現地でなにか気に入った製品があり購入し、それを日本に持って帰りたいということももちろん考えられます。240V対応の製品を日本の100Vの環境で利用しても、利用した瞬間に壊れてしまったり、火が出るといったことはありません。

 

しかし、例えば海外製のドライヤーをそのまま日本で使った場合、風は出るけど熱風が出ないといったパフォーマンスに影響が出てきます。これを解消するには同様に変圧器を使い、電圧を100V→240Vに上げる必要があります。これをアップトランスと呼びます。

 

ここでさらに知っておかなければいけないことは、「周波数」です。周波数はHzで表記されており、V数と同様に製品自体もしくは充電器に50Hz、60Hz、50/60Hzのような記載がされています。電気は交流といって、プラスとマイナスが1秒間に何回も入れ替わっており、その入れ替わる回数を周波数(Hz)と呼んでいます。

 

電化製品の中には周波数を基準にしているものもあり、異なる周波数で利用するとモーターの回転数が変わる等の変化が起こり、それが原因による製品の故障もあり得ます。

 

ちなみに、周波数は日本国内でも分かれていて、東日本は50Hz、西日本は60Hzです。海外の主要国は50Hzのところが多いですが、アメリカとカナダは60Hzです。 日本国内の周波数がどこから分かれているかの詳細は、以下のサイトから確認できます。
http://www.sharp.co.jp/support/info/info_hz_1.html

 

電化製品には、「電熱」を使うもの、「電波」を使うもの、「モーター」を使うものと分かれていて、製品例は以下の通りです。

電熱:炊飯器、コンロ、トースター、アイロンなど
電波:テレビ、ラジオなど
モーター:掃除機、ミキサー、洗濯機など

電熱、電波を利用する電化製品は周波数が違ってもそのまま利用が可能ですが、モーターを利用する製品はそのまま使うと正常に動作しないなど、故障に繋がることもありますので、周波数も確認が必要です。もし、周波数が違ったとしても、周波数を変換するインバータというものを購入すれば利用可能です。 ※変圧器で周波数を変えることはできません。

オーストラリアはコンセント形状も違う!変換プラグの種類と選び方


電圧の違いが理解できたところで、実はまだ知らなければいけないことがあります。それは「コンセント」の形状について。コンセントは世界中にAタイプ/Bタイプ/Cタイプ/B3タイプ/BFタイプ/SEタイプ/Oタイプ/B3Lタイプの8つの形状が存在します。

 

日本はAタイプ、オーストラリアはOタイプというハの字のような形状のコンセントです。

 

前段で日本製のドライヤーを現地でそのまま使った場合の話を出しましたが、実は電圧だけでなくコンセントの形状も違うので、日本の電化製品をいつも通り利用するには「変換プラグ」と呼ばれる製品を間に挟む必要があります。変換プラグが無ければ、そもそもコンセントに差し込むことができません。

 

変換プラグは家電量販店や空港、ECサイトでも購入可能です。形状は限られますが、100円ショップで購入できるものもあります。Oタイプの差込とAタイプの受入のみついたシンプルなものから、1つの製品でさまざまな国のコンセントの形状に対応しているマルチなもの、さらにUSBポート付きのものまで販売されています。

 

価格はシンプルなもので100円~、マルチ対応のものだと1,000円~2,000円しますが、選ばなければ安価で準備可能です。少し余談ですが、オーストラリアを含むオセアニア(ニュージーランドやフィジー、クック諸島など)は同じOタイプのコンセントで電圧も240Vなので、同じ用意で行くことが可能です。

 

変換プラグがないと、携帯の充電などなにもできませんので、必ず準備するものとして覚えておきましょう。オーストラリアなどの海外製品を日本で使いたい場合も同様に、変換プラグが必要になります。

 

ちなみにオーストラリアのすべてのコンセントには差込の上にボタンが付いています。オンオフの切り替えをするもので、ボタンを押すとオンの状態(小さな赤い横線が見えていればオンになっています)になります。コンセントに繋いで、さらにボタンでオンにすると利用が可能になります。

オーストラリアのプラグ形状(タイプS)

オーストラリアで利用されているのは、Sタイプです。下の方に2つ穴があるものと、穴が3つあるものの2種類となります。Sタイプを採用しているのはオーストラリアとニュージーランドの2か国です。

よくある質問

オーストラリアのスマホの周波数帯は?

スマホを使うためには、現地で電波をキャッチしなくてはなりません。電波は周波数帯によって分類され、バンドという数字で表示されます。オーストラリアで利用する場合、以下となります。

  • 3G:GSM 850/900/1900/2100Mhz
  • 4G、LTE:Band3,Band4,Band7,Band17

iPhoneは変換器いらず?

iPhoneはグローバル規格になっており、世界中の電圧に対応しています。そのため、変換プラグだけあれば変圧器は必要ありません。ただし、充電する際には念のため表示をチェック、100〜240Vと書かれていることを確認してください。

まとめ:正しい電源知識で安全・快適なオーストラリア生活を

いかがでしたか?日本とオーストラリアでは、気候や習慣、時差、言語、紙幣といったさまざまな違いがあることを理解している人は多くいると思いますが、「電圧」は盲点だったという人も結構いるのではないでしょうか。

 

携帯、デジカメ、ノートパソコンくらいの用意で行く人にとっては、電圧のことを詳しく理解していなくても実際問題ないことがほとんどですが、知識があるのとないのでは大きな違いです。日本になにかを持ち帰ってきて、変圧器や周波数のことを知らずに使い、壊れてしまうようではもったいないですよね。

 

変換プラグの用意や持って行く電化製品によって変圧器が必要など、ここで解説した話はオーストラリアに限らず、どこの国でも同じことが言えるとても重要なポイントです。ぜひ、参考にしていただけると幸いです。

呑村紗也佳

私にとって海外留学は、「それまで持っていた常識や当たり前を180度覆し、価値観がぐんと広がった」そんな経験でした。もともと留学や海外に興味はなかったですが、両親が留学を勧めてくれたのをきっかけにオーストラリア・カナダ・アメリカで計4年ほど海外生活を送りました。

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